速度は秒速30万kmとされている。アインシュタインは光になったら世界はどう見えるのか、という発想から相対性理論を作り上げた。収縮する物体、遅れる時計。これらは四次元時空に関するおなじみの言説だ。この四次元時空のなかで、二つ異なる慣性系の間に相対運動が起ると、それらの間では時計の進み方が異なるという事件が起る。

 この異なる慣性系同士における、時間や空間の相対的変化は、ローレンツ変換式によってシンプルに記述することが可能だ。そして、このような変換に対してまったく影響を受けない世界が一つだけある。つまり、二人の観測者がつねに同じ時間性を共有し、同じ空間性を所持できる世界……。それが光速度そのものの世界だ。ここには絶対時間としての進まない時計、物理的空間がその存在意味を消失する、ゼロ点としての真の絶対空間がある。一瞬のなかに永遠があり、永遠が一瞬と化する摩訶不思議な世界だ。だから、「光になる」ということは、永遠のなかから世界を見るということでもある。

 永遠のなかから世界を見ると、過去や未来が同時に見える。いや、そこでは、過去-未来といった因果律さえ、もはや意味を持つことはない。何せ時間はないのだから。

 光速度状態においては、起ったこと、起ること、起るであろうこと、これらは、すべて同時に生起する。だから、そこから見ると、運動は、過去、現在、未来という三位一体の同時性が作り出す、一つの静止対象に映る。運動-記憶の連鎖はこうして光速度の中にたくわえられているのだ。
だから、僕らが光速度だといっても誤りではない。僕らは光になるまでもなく、すでに光のなかから世界を見ているのだ――このことに気づいたとき、君もヌースに触れることができる。(コウセン)

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