死にゆく天使たち

「天使の顔は過去を向いている」と言ったのはベンヤミンだったか、それともクレーだったか。楽園から吹いてくる風はいつも逆風。その風は時を未来へと運ぶ。そのために天使は「今」に降りることができない。それゆえ、歴史はその都度この「今」を破壊し、そこに瓦礫の山を積み上げていく。
 
この風がやむとき、果たして天使は「今」に降りることができるのだろうか。瓦礫が大地を埋め尽くし、着地する場所がなければ、天使は疲労の果てに死に絶えるということも十分にあり得る。たとえ1平米でもいい。天使が舞い降りるための場所を!
 
下作品はパウル・クレー「新しい天使(Angelus novus)」1920

新しい天使