4月 17 2018
物質的生態学から霊的生態学へ(3)
●天上世界の生態系
語源的に言えば、エコロジー(ecology: 生態学)のeco というのは、もともとギリシア語のオイコス(oivkos: 住居、家族)から来ている。エコノミー(economy: 経済)のeco も同じ語源だ。そしてこのオイコスから派生したオイコノミー(oivkonomi)という言葉を、ギリシアの人々は世界の創造と維持、そしてその救済のための神による「取り計らい」や「管理」といった意味で用いていた。地上の物質的経済の背後に天上のエコノミーというものが存在し、そしてその天上のエコノミーが世界の生成と消滅をマネージメントしている―彼らはそういった全く別の経済活動の存在を信じていたのである。僕らはエコロジーについてもこのギリシアの人々の考え方を取り入れるべきではないだろうか。
地上の生態系の背後には本当の生態系とも言うべき「天上世界の生態系」が存在している。ここではこの天上世界の生態学のことをエコロジーと区別して「オイコロギア(oivkologia: 霊的生態学)」と呼んでみよう。このオイコロギアの世界においては、人間は単なる一つの種なんかではあり得ない。人間は万物の霊長であり、存在世界の結節点ともいうべき存在である。霊的なものの終わりに物質的なものの始まりがあり、物質的なものの終わりに霊的なものの始まりがある。こうした物心一体の宇宙のアルファとオメガをつなぐもの。それが人間である。こうした世界観のもとでは人間なくして自然も宇宙もない。
人工と自然、テクノロジーとエコロジーといった薄っぺらな二項対立で環境問題を考えるのではなく、自然と反自然、存在世界と創造の関係にまで人間精神の自由度を拡張して思考すること、それが必要だ。反自然者、再生者としての霊的人間観が再興されなければ環境問題の解決は決してあり得ないだろう。エコロジーの問題が物質的に語られている限り、それはいつまでたってもエコノミーに従属するものにしか成り得ないのだ。
※雑誌『スターピープル』VOL.20掲載記事より
4月 20 2018
ヌース映画本の荒稿の仕上がり間近
只今、ヌース映画本の執筆の追い込み中。この本はヌーソロジーの解説本というよりも、大ヒットした過去のいくつかの映画作品をヌーソロジーの視点から解説することで、一般の人にも世界観、宇宙観、人間観に対するヌース的視点を養ってもらおうという主旨の本。
心理学の専門家の春井星乃さんと、まとめサイト編集者のまきしむさんも入ってくれて、今までのヌース本にはない、とてもPOPで面白い本になっていま~す。
とにかく、本全体を通してヌーソロジーを語っているにもかかわらず、ヌース用語が一切出てこない。という(笑)これは、実に画期的。あと、一息で、まとまると思うので、しばしのお待ちを。
By kohsen • 01_ヌーソロジー, 06_書籍・雑誌, 09_映画・テレビ • 0