空間における四つのアスペクト

ヌーソロジーを理解していくためには、次の四つの空間の相(アスペクト)の違いが直観できるセンスが必要(下図参照)。
 
1.対象から広がっているように感じる空間
2.身体から広がっているように感じる空間
3.座標で切り刻んだ空間
4.持続としての空間(純粋な奥行き)
 
通常「空間」と言うと、1か3しかイメージされていない。これらが「人間の内面」の範疇に含まれる。
 
2 は身体が指向性を持っている空間と考えるといい。見失われているのは言うまでもなく4の空間だ。これら四つの空間の識別ができるようになれば、ヌースが語る次元観察子の理解が容易になってくる。
 
物自体の空間への侵入口は4の空間にあると考えるといい。これが意識に昇ってくれば「間」が開く。人間の内面はその意味では「マヌケ(間抜け)」な空間と言っていいものだ。
 
ここでいう「間」とは実在としての物が活動している空間のこと。時空で物を見ている限り君はマヌケでしかなく、実在に触れることはできない。
 
自己と他者の本当の共同性もこの「間」の中にある。科学的世界観が倫理に対して無力なのも、その思考性に最初から「間」が抜け落ちているからだ。
 
「間」を満たしているのは、文字どおり太陽(日=霊)の力である。あらゆる物は、この太陽の力を原像として持つことによって出現させられている。太陽とは結び(産霊=ムスヒ)の場である。奥行きが開けばそのことがハッキリと分かってくる。
 
まずは、1と2の空間の違いを直観するところから始めるといい。これらは、ヌーソロジーでいう〈思形〉と〈感性〉が作る二つの空間を意味している。〈思形〉は対象から広がる空間を作り、〈感性〉は持続に関与する空間を作っている。
 
「間」の空間とは、それらの間に隠蔽されている持続そのものが生きる元止揚空間に当たる。これが物自体の土台を生成している空間だと考えるといい。
 
「間」が開いたとき、隠蔽性は非隠蔽性へと変わり、ハイデガーが言っている「アレーテイア(真理)」の意味が手に取るように分かってくる。

次の四つの空間を区別できるセンスを持つこと