脱ユニクロ循環(存在の耐えられない安さ)

DSC_0081 ここ数年レクチャーをお休みしていて、人前に出る機会が少なくなったものだから、ファッションにほとんど気を使わなくなってしまっていた。ひきこもってダサダサ君になる状態を、身内(と言ってもわたしとトーラス氏の間だけ)では「ケプラー状態」という。かのケプラーは研究に没頭するあまり、風呂にもろくに入らず、自室に閉じこもったまんま、服も年中同じものを着ていたらしい。研究者タイプにはかなりこの「ケプラー状態」を生起する人が多い。わたしも、ヌース理論関係の作業に没頭すると自然にケプラー状態がやってくる。この年になって着飾ってどうとなるものでもないが、やはりダサ男くんは避けたい。これでも、以前はゴルチエやイッセイ・ミヤケやヤマモトヨージしか着ない時期だってあったのだ。ぶつぶつ。

 しかし、大した収入もないのに、年ごとにモードが変わって行く流行のブランドものにそんなに金をかけてるのもバカらしい。そんなとき、出て来たのが、あの、小市民ブランドの覇者、ユニクロだった。何ぃ〜、ジーンズ2本と、セーター2枚、靴下5足まで買って、1万円でオツリがくるだとぉ〜。そのあまりの安さの衝撃に、ついふらふらとユニクロ通いが始まってしまった。うーん、今思えば魔が差したのだ。はっきり言って、ユニクロはサブリミナルの罠をかけている。というのも、ユニクロの服を買い出すと、なぜか中毒のようにユニクロにしかいかなくなるのだ。。。………うーむ、理由は簡単だった。ユニクロを着て服を買いに行ける店がユニクロしかないからだ。「あっ、今日もシャツがユニクロだ。これじゃいい服は買いに行けないっす。えーい、パンツもユニクロでいいや。」ということで、またユニクロにいる。こうして、先月もユニクロ、今月もユニクロ、来月もユニクロというように、ユニクロ菌がクローゼットの中を腐食し始める。ユニクロの服ははっきり言って自然破壊に手を貸してはいまいか。2〜3度着るとすぐに型くずれをおこしてユニセフの配給品のようになってしまうからだ。もちろん、それでもありがたく着せていただく、という精神は忘れたくはないが、その品質の劣悪さはやはり値段相応だ。そのくせ広告だけはあざといから余計に腹が立ってくる。よおし、ここは脱ユニクロだ。野菜なんか作ってんじゃねえー。銀座なんかに店出すんじゃねえー。というわけで、今年の冬からはケプラー状態からガリレオ状態(ガリレオはケプラーと違ってチョーオシャレで女にもモテた)へと変身するぞぉー。

 ということで、昨日はさっそく街に出て、「seven」のブーツカットのジーンズとETROとMISSONIのセーター2着をゲット。おお、この三点だけで、何とユニクロ製品一年半分の値段じゃないか。なぜか顔がニコニコしているわたし。難しいことばかり考えて自室に閉じこもっているケプラー状態の諸君。諸君もたまにはオシャレをして街を歩こう。ユニクロ循環には陥らぬよう十分気をつけてくれたまえ。