6月 17 2008
時間と別れるための50の方法(15)
●ψ3はどこへ行った?
ψ3の球空間とψ4の球空間の区別が見えてくると、意識に面白い感覚が生じ始めてくるのが分ります。それはψ3とψ4、それぞれの球空間が持つ包含関係に、下図1に示したような次のような二通りの在り方があるのではないかと感じてくるからです(ψ3、ψ4どちらも半径が無限の長さを持っていると考えますが、ここではψ3とψ4がどちらも膨張-収縮できるものとして考えています)。
1、ψ3の球空間がψ4の球空間を包み込んでいる
2、ψ4の球空間がψ3の球空間を包み込んでいる
ここも皆さんのイメージを喚起しやすくするために具体的に話してみます。
今、目の前、1mぐらいのところにバスケットボールがあるとしましょう。このとき、顕在化が起こっている人には、そのバスケットボールの外部にある空間はψ3の球空間のように感じられてきます。つまり、背景面を内側(凹面側)に持っているような球空間に見えてくるということです。一方、バスケットボールの内部の空間は従来通り、自分に向かって膨らみを持った球空間のように見え、それは変わりません。つまり、このとき、バスケットボールの外部の球空間はψ3、内部の球空間はψ1~ψ2が形作る球空間として捉えられるということです(下図2参照)。
ここから次の次元観察子であるψ4の球空間がψ3の反映物として把握されてきます。それは「バスケットボールの手前にいるボク」という位置感覚をベースに形成されます。バスケットボールとボク。皆さんの頭の中にも、この両者を結ぶ線が意識にイメージされているはずです。今度は、この線をバスケットボールを中心に回してみましょう。すると「ボク」がバスケットボールの周囲をぐるっと回っているイメージが生まれてくるはずです。このとき、この線の回転によって形成されているのがψ4の球空間です。
実際にイメージして見れば分ることですが、ψ1〜ψ2の球空間(モノのかさ張りとしての球空間)とψ4の球空間は方向性がとても似ています。違うのは観測者の位置を含んでいるかいないかです。つまり、ψ4の球空間とは物体のかさ張りとしてのψ1~ψ2の球空間の認識が観測者としての自分の位置をも呑み込んだ領域まで拡張されてイメージされたもの、とも言えます。普通にいう3次元座標は観測者としての「わたし」は単なる物体として簡単に包み込んでしまいますから、まさにψ4の球空間の骨組みそのものと言えます。
さて、ここでψ1〜ψ2が長さや大きさという尺度概念を生み出している空間となっていたことを思い出して下さい。物理学ではこうした大きさのみを持つ空間のことをスカラー空間といいます。まだ、はっきりしたことは言えませんが、おそらくこのψ1〜ψ2は物理学でいうこのスカラー空間に対応させることができるのではないかと考えています。
スカラーが方向を持つとベクトルという概念になりますが、ψ1~ψ2をスカラー空間(大きさのみで方向を持たない)だとすれば、このψ4で力の方向が生まれ、3次元のベクトル空間が構成されているのかもしれません。実に面白いですね。物理空間には何が原因か分らないけれども力が存在していて、その力が方向を持ってすべての物理現象を仕切っています。OCOT情報では次のようにいいます。
人間の意識とは付帯質が持った方向性の力——。
何が言いたいのかというと、物理学が物質的な力として扱っている力と方向とは、ひょっとすると観測者の位置という概念が持った意識の力の方向性を架空の客観空間の中で見ているだけかもしれないということです。この考え方で行けば、純粋に物理的な力など実はどこにも存在しておらず、それらはすべて、物質も意識をも支配している何らかの精神が空間に概念として与えている力なのかもしれない、というイメージが生まれてきます。つまり、このことは観測者としての人間が存在しなければ空間にはいかなる力も方向も存在しない、ということを意味します。
おっと、また話が横道に逸れそうになってしまいました。戻ります。
僕の説明が下手なために、ψ3とψ4の区別がまだよく分らないという人がいらっしゃるかもしれません。そういう人は次のようなイメージで考えてみたらいかがでしょうか。
実際、このψ4の球面上をなぞる回転を行なったとき、バスケットボールの手前にいる自分がバスケットボールを挟んで反対側に回り込むようなイメージが作り出されてくるのが分ります。つまり、此岸の「わたし」と彼岸の「わたし」がバスケットボールを挟んで対峙しているイメージです。そのとき、彼岸の「わたし」が貼り付いている面には自分の顔が貼り付いているわけですから、これは人間の内面です(下図3参照)。
わたしがモノの背景面として実際に見ている面は人間の外面だったわけですから、そうした空間認識は完全に表裏が裏返っているんですね。僕がこのことに最初に気づいた時は、かなりの衝撃でした。というのも、じゃあ、実際に見えている目の前の空間はどこにあるんだ?ってことになるからです。人間は知覚が降り立っている場所をまだ知性では捉えることができていない——それが僕に顕在化が起こったときの確信でした。――つづく
6月 21 2008
時間と別れるための50の方法(16)
●4次元空間への脱出口
「時間と別れるための50の方法」とタイトルを銘打って書き進めてきたこの駄文も、もう(16)まで来てしまいました。肝心の時間についての話が一向に出てこないじゃないかと怪訝に思っていらした方も多々いることでしょう。ようやくです。ようやくこれで時間を含めた4次元という次元(4次元時空と4次元空間)の本質についてヌース的な視点から話す準備が整いました。ここからは今まで以上に頭の柔軟性が必要になります。OCOT情報を交えながらじっくり進めましょう。
モノから広がっている3次元空間の方向性はシリウスでは何と呼ぶのですか?
垂子(スイシ)です。垂子とは線です。
(シリウスファイル)
まずは、今まで説明してきたψ3とψ4の球空間の半径が持つ互いの関係を正確に描いておきます。
この図から、ψ3の半径部分は観測者から見てモノの背後方向に延びている直線に対応することが分ります。一方、ψ4の半径部分の方は、モノの手前にいる観測者自身の方向、さらにはそこをも突き抜けて、観測者の背後側へと延びている直線に対応しているのが分ります。今一度、皆さんもその二つの方向性の違いを確認してみて下さい。
すると、ψ3の半径が指し示す方向は正面方向にあるので「見えます」が、ψ4の半径の方向性はモノの手前側に向いており、まずは「わたし」の顔面方向、さらにはそれを突き抜けた後は「わたし」の背面方向となって、共に「見えない」ことが分ります。この「見える」「見えない」が「人間の外面」と「人間の内面」の違いです。僕は外面を「現実的なもの」、内面を「想像的なもの」とよく言い換えるのですが、これは、前は見える、という意味において現実ですが、後ろは見えないという意味において、つねに想像でしかないからです。
モノから広がる3次元空間の概念は実は人間の内面=ψ4の球空間にしかあてはまらない。というのが前回の内容でした。では、現実として目に見えている外面=ψ3の球空間は一体どこにいったというのでしょう。
ここで、もともとψ3の球空間が2次元射影空間を作り出すための球空間であった、ということを思い出す必要があります。モノの背景面方向には確かに、無限遠方へと延びている線分が感覚化されています。しかし、現実としての知覚正面上ではその線分上の点はすべて一点で同一視されているというのが分かります。つまり、射影空間上ではψ3の球空間の中心点(光学中心と言います)と無限遠方は同じものになっているという言い方もできるのです。つまり、無限遠の長さの半径が無限小の長さに潰されているということです。そうした線が回転するのですから、ψ3はその中心にある微小な球体に縮まっていると考えられます。ψ4に包含されてしまったψ3とは何と中心点近くまで入り込んでいるわけです。『人神/アドバンスト・エディション』では、この入り込みを空海のいう重々帝網という仏教概念を使って即身化のルートと呼びました。微塵のミクロ世界にも、マクロが映り込んでいるというわけです。ライプニッツの言葉を借りれば、これはモナドです。
こうして説明しても、見えている世界がミクロ世界?そんなバカな、と思う方がほとんどだと思います。とにかく、実際に皆さんの身体を使ってこの様子を確かめてみて下さい。前回示したワークで言えば、バスケットボールの周囲を回転していくときに、その中心とその背後方向に延びている無限遠へと延びている線が、現実には点のように見えていることを確認しながら、ゆっとりとバスケットボールの周囲を回ってみればいいだけです。どうでしょうか。ボールの背景面上で次々と遷移していく無限の彼方にまで延びているはずの視線の突端はボールの中心点とピタリと一致して、点にしか見えないのが分りますね。知覚的事実としてこれは否定のしようがありません(下図1参照)。
「神が聖母マリアの胎にひそかに宿り給うたとき、そのとき点が円環を内包したのだ。」
こちらも、ヌースではもうおなじみの引用(『シリウス革命』205ページ)ですが、これは16世紀に活躍したオランダの建築家シェフラーという人の言葉です。この言葉は人間の空間認識の反転が、世界に創造者を再来させる、ということを意味しています。マリアの胎にひそかに宿り給う神………受胎告知ですね。この「ひそかに」というところがミソです。光の救済なんてものはそんな派手なものとしてはやってこない。人間の内面に堕ちた光のかけらをそっと物質(マテリア)の中心に差し戻してやること。そこから光の目醒めが始まります——つづく
By kohsen • 時間と別れるための50の方法 • 2 • Tags: シリウス革命, モナド, ライプニッツ, 人類が神を見る日, 内面と外面, 無限遠