宇宙卵の孵化について

真の奥行きの意味を昔懐かしの簡単な図で示しておこう(下図参照:1997年刊『人類が神を見る日』での掲載図より)。
 
この図に描かれた鉛筆の方向は今は「時間」とされている。その設定が原点を局所的なものにしている。この方向が持続軸へと変態を起こしたとき、原点は非局所となり、そこに外的中心を持った真の空間が姿を表す。
 
このとき、鉛筆は物質粒子のスピンへと姿を変える。
 
人間が時空(幅の世界)を通して世界を見る時代は実はもう終わっている。幅の世界には一つの真実もないことを徐々に多くの人が知るようになっていくだろう。まだまだ時間はかかるが、宇宙はすでに自身の秘密を明かす方向に反転を始めているということだ。
  
この新しく立ち上がってくる空間にまだわたしたちは具体的な風景を持つことができないでいる。しかし、ひとたびその空間感覚への感応が生まれてくれば、劇的な速度でそこで活動する空間組織への結晶化が開始されていくのではないかと思う。この変化は「空間卵の孵化」と称しても決して大げさではない。
 
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持続と延長の転倒は非局所と局所の転倒に同じ。持続空間においては目の前は常に同じ位置であるにもかかわらず、それを延長空間でしか見れないものだから違う位置だと考えてしまう。それが奥行きと幅化した奥行きの違い。たったそれだけのこと。
 
奥行きの空間で世界で構成し直せば、自然に霊性が活動している超越論的なものの世界へと認識が展開していく。そこに見えてくるものがカタチ。大きさも歪みもない純粋なプラトン立体の世界。
 
それを局所的認識で表現しようとしているのが量子論の世界。
 
時間ではなく、持続(流れない時間)で空間を満たして行けば、世界は自然に実体の世界へと移行し、そこに精神と物質が一致した実体のアーキテクチャが構成されていく。
 
このアーキテクチャが生まれることによって時間と空間(これもまたローカルなアーキテクチャにすぎない)の支配力は減衰し、そこに物質認識に変わる新しい知覚様式が芽生えてくる。宇宙のコントロールはそういう筋書きで進行する。
 
そういう空間がここかしこに生まれてくれば、人間のおしゃべり(表象知)は自然に勢力を失い、一切の諍いの元は絶たれ、尊敬-侮蔑、愛好-嫌悪にも人々は興味を失っていくことだろう。
 
と言って、情動を失うわけじゃない。そこには未知の空間感情というものがあるにちがいない。しかし、それを表現する言葉をわたしたちはまだ持ち合わせてはいない。

4次元方向とは何か