ヌーソロジーを学ぶ皆さんへ

ヌーソロジーに触れたとき、多くの人がまず考えるのは、「この理論をどう現実に役立てるか」「自分の生活や経験とどう繋がるか」ということだろう。それは自然な反応だ。
だが、言い出しっぺとして、はっきりと言っておきたい。ヌーソロジーは、そのような現実に「応用」するための思想ではない。むしろ、その逆にある。
人間が現実と呼んでいるものの意味を、根底から変えるために、ヌーソロジーの思考は存在しているということ。

私たちが日常で「現実」と呼んでいるものは、外に物があり、時間の因果が働き、主体(自分)と客体(世界)が分かれている世界だ。しかしヌーソロジーの世界感覚は、まったく違う。
物理的な世界は、自己と他者の内的持続の投影像にすぎない。外に実在すると思われている世界は、すべて意識の差異化運動の影に過ぎないのだ。
主体も客体も、この差異化の多層構造の中で、互いに反転しながら成り立っている。この視点が開けてくるとき、私たちの「現実感覚」は根底から変わる。

ヌーソロジーの学びは、日常を便利にするための知識ではない。それは、日常そのものの意味を反転させ、自己自身を宇宙そのものへと変えていく契機の提供である。
だから、学びの中で得られたビジョンを、人間的な現実に引き戻そうとしないでほしい。その内的な事実をそのまま受け入れ、外延側に適用しようとする欲望を超えていくこと。

私たちが歩むべきは、現実を従来の人間側に近づける道ではない。現実そのものを超越論的に開き直す道なのだ。
そのとき初めて、人々の中で今まで考えもしなかった新しい現実が目覚めるだろう。ヌーソロジーの学びは、その扉を開くためにある。

ヌーソロジーは、人間をそのままにしておく学ではない。それは、人間をまったく別の存在へと変容させる、宇宙の思考装置なのだ。
だからこそ、哲学的SFのイメージで、知的エンタメとして愉しむ姿勢が必要なのだ。