真夜中のradio gig

 iTuneのラジオプログラムからGroove Salad on SomaFMの128 kbpsをセレクト。ご機嫌なアンビエントテクノが流れている。渋いリズムを刻むハイハット、スローテンポで弾むファンキーなベース、バックに流れるシンセストリングス。それらを背景にしてコロコロとした手触りのフェンダーローズピアノのムーディーな旋律が流れて行く。真夜中に自分の室内を音楽で満たすのは何ヶ月ぶりのことか。。。久々に気持ちのいい夜だ。ただ、このラジオがインターネット放送というのがちょっと残念。ラジオはやっぱり電波がいい。ひっそりと寝静まったいくつもの街を眼下に見下ろしながら、漆黒のヴェールに篩をかけてやってくる電波。そういう電波がいい。そうは思わないか?

 真夜中のFM-radio——オレたちの世代はそこで幾つもの夢を見てきた。想像してみるといい。ひっそりと眠りについた真夜中の街。その上空をjazzyなテクノやsoulfulなアンビエントのビートが次から次へと見えないウェーブとなって流れていく。見えるやつはそれをオーロラのようだと言う。いや、大天使の裾衣と言ったヤツもいた。都市の上空を軽やかに旋回するelectric groovesとmagnetic stream。そこでは聖霊たちのマスカレードが始まっている。よくあるだろう。良い子がお眠りしている間、オモチャたちが子供部屋の中を所狭しと遊び回るメルヘンチックな世界。ある意味あれと同じだ。ダンシングゲートを通って次から次に紹介される天使たち。ようこそ、バリアフリー・ミューズの王国へ。君の十八番を聴かせてもらおうじゃないか。マービン・ゲイ風、ファンカデリック風、ジェームス・ブラウン風、おっと今度はいきなりレディオヘッド風。実にいい。何てご機嫌な夜なんだ。こんな夜に眠る奴はバカだ。いや、ひょっとすると、こいつらはここで人間の夢見の世界を操っているのかも知れないな。

 音楽には来るべき世界のすべてがある。音楽とはケイブの中に響き渡る創造の残響音なのだ。だから、音楽は本来は夜の領域に棲むものだ。昼間の出来事,事物はすべて夜の音楽の影だ。昼の音楽は死んでいる。あれはノイズだ。昼に殺されている。だから、オレは夜中の音楽、それもとびきり真夜中の音楽が好みなんだ。オマエもオレと一緒に月まで飛ばないか。そっとradioのスイッチをturn onさせるだけでいい。そしてtune in。どうだ、分かったろ?「リゾート/resort」とはこういう世界のことを言うんだぜ。