ヘッドハンターのひとりごと

Uamb人間の頭をいかにして刈っていくか。それが問題だ。頭は世界を観察するための中枢のように考えられている。brain in the pod——容器の中の脳みそ。脳は確かに精神の映し絵となるものだろうが、脳に意識の本質なんてものはありゃしない。頭蓋骨を切り開いて、自分の脳みそを皿の上に乗せる。神経の束だけは切断せずにおこう。眼球が捉える数ポンドの灰白質のかたまり。こんな白子の中にオレの魂が詰まっているなんて笑わせてくれるじゃないか。湯通しでもして、ポン酢につけて食っちまえ。

 脳が自分の脳を物質的なものとして外部に見出すとき、認識はどのようなループを持って、脳の外部と内部をつないでいるのか。意識で言う内部とは単なる容器の内部のようなものじゃない。そろそろこのクソ狭い内部から脱出したくないか。窒息しそうだ。それにしても人間はどうして自分の頭部を世界の中心に置きたがるんだろなあ?対象世界を観察する能力が観測者たる主体の定義であるとするなら、主体は観測している現場そのものの中に敷衍して存在しているのじゃないか?オレはそう思えてならないが。

 試しに周囲をグルリと見回してみろよ。今のアンタにゃ際限なく空間が広がっているように感じるだろうが、それってひょっとしておまえさんの頭の中じゃないのか?おまえさんがいる場所とその周囲に広がる無際限の空間の果てをおまえさんは区別できるのか?
できるというなら、おまえさんはもう終わってる。宇宙っての巨大なフルヘルメットなんだぜ。その際限のない空間の果てを科学者たちは特異点などと呼んで気どってやがるが、それがアンタがいる場所じゃないのかって言ってるんだけどな?はるか彼方の球面が一気に点に化けちまって、宇宙そのものだったアンタがちっぽけな頭に変えられちまった。。
なぁ、とるに足らない点のアンタよ、自分を点に縮めて一体何がやりたいんだ?貯金か?センズリか?ちっ、全くやってられねぇーぜ。だいたいアンタは人の目を気にしすぎるんだよ。たくさんの目がフルヘルの中心に向かって、君とか、あなたとか、オマエとか、テメェーとかいろいろ言ってくるだろ。お人好しのアンタは、そうした無数の他者の視点の交差点に焦点化された存在を自分だと思い込まされてしまっている。そんな焦点なんぞ早くバラしちまいな。あんたの居場所はもっと神聖なところにあるんだせ。科学者たちは宇宙の始まりの場所とか呼んでるけどな。
ほ〜ら星空を見上げてみろよ。あの奥にな数え切れないほどの銀河を包み込んでいるシャボン玉がある。表面は虹色に輝いていてな、そりゃたいそうデリケートな膜だ。どんな人間もそこから派遣されているのさ。玉があって、点に縮んで、また玉に戻る。玉に戻ったら、玉の外に突き抜けてあっちに行くんだぜ。わかるかあっちって?そこに本当のアンタがいるよ。本当のアンタはチョーいかしてるぜ。

 時空上に散在する観測者の位置としての点。それは事実として無限遠点である。

しばらく間が空いたので、間に合わせの走り書き。。。読んでくれている皆さんには申し訳ない。。