【シュタイナー思想とヌーソロジー】ピックアップ解説 5

シュタイナー思想とヌーソロジー本の解説5回目。

【シュタイナー思想とヌーソロジー】(福田パート)
霊的知覚の最初の兆しは、まず眠りの変化として現れます。なぜかと言うと、これは眠りの本質に関係しているのですが、人間の眠りとは、実は人間の四つの要素ある自我、アストラル体、エーテル体、肉体の内、自我とアストラル体がエーテル体と肉体から離れ、高次世界へと上昇していくというプロセスなのです。ですから、夜ベッドの上で眠っている時は、我々のエーテル体と肉体だけがベッドの上に残されており、自我とアストラル体は高次世界へ上昇しているという状態にあります。p.106
 
ヌーソロジーで言うと、覚醒時と睡眠時は意識の方向が真反対に向いています。覚醒時は人間の意識は付帯質の外面で活動しており、睡眠時は付帯質の内面に方向を向けています。つまり、起きているときと眠っているときとでは、存在に対する意識の方向性が相互に反転しているのです(下図参照)。
 
【シュタイナー思想とヌーソロジー】(福田パート)
ではなぜ、夜の眠りの中で我々は意識を失うかというと、現在の我々には、今説明してきている霊的知覚器官が形成されておらず、眠りの中で上昇している霊的世界を知覚することができないからなのです。p.106
 
ここでシュタイナーのいう「霊的知覚器官」の形成が、ヌーソロジーでいう付帯質の内面の顕在化に当たります。顕在化は次元観察子によって行われていくので、観察子自体が霊的知覚器官と言っていいのかもしれません。付帯質の内面が顕在化を起こした空間はシュタイナーのいうエーテル界に当たります。
 
ヌーソロジーの思考感覚から言わせていただけるなら、エーテル界とは人間が自分自身の自我を構成していた無意識の空間構造を高次の対象として認識していく世界のことです。哲学の言葉で言うなら、超越論的なものの構成を経験していく超越論的経験論(ドゥルーズ)の領域です。

覚醒時と睡眠時の意識の方向性