4月 22 2025
4月 22 2025
二人の顔を覆う布の彼方に、
消えゆくのは鏡像としての男?
それとも女?
ただあるものたちの沈黙の中で、
静かに燃えるているのは光の外の光。
二人の唇は決して触れ合うこともなく、
それでも深く繋がり合い、
心の底で共鳴の音が鳴り響いている。
おそらく、この世界が終わるとき、
彼らだけはこの沈黙の中へと入り込み、
終わりのないコミュニオンに包まれる。
「恋人たち」という、
永遠のなかで、
共に響きあう存在の詩。
内も外もないのだ。
ただ共にあること。
それが愛の本質だと、
マグリットは淡々と歌い上げる。
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![]() | 半田広宣 |

4月 23 2025
「複製禁止」の風景—二重体としての僕
鏡の中に映る背中、
それは記憶の中で、
無限に続く回廊のようにも見える。
ここに描かれた鏡は単なる鏡ではない。
それは世界を迷宮化させるための舞台装置だ。
この装置の中で、
僕は二つに引き裂かれている。
見ている僕と、見られている僕。
よく考えてみよう。
鏡をみているはずなのに、
顔が見えない。
それだけで混乱してしまう。
僕には顔がある。
なのに、なぜ?
答えは「複製禁止」というこの作品のタイトルにある。
僕という存在はほんとはただ一つ、
鏡には決して映ることのない僕が、
鏡の外にいるのだ。
ただ見つめ続ける存在として。
迷宮のようなこの鏡の中の世界を超えて、
僕は、今も尚そこに居続けている。
そのことに気づいたとき、
この悪夢のような鏡の世界の物語は
かけがえのない戯曲へと変わるのだ。
By kohsen • 08_文化・芸術 • 0