5月 2 2018
複素数の目覚め
最近発展してきた量子解釈に関するモデルで、量子ベイズ主義というのがある。量子ベイズ主義は波動関数を物理的実在としては見ない。個人の主観的な心の状態を表しているものと見る。素粒子を主観空間(無意識の主体)の構造として分析しているヌーソロジーにとって、これはとても歓迎すべき傾向。
客観をベースに世界を想定する時代はいずれにしろ終わりに近づいている。僕らが実在世界と呼んでいるものは共有された幻想のようなものだ。現実と幻想は決して対立するものではなく、幻想の中に部分として現実が含まれている。複素数の中に実数が含まれるように。時代は徐々にその方向へと動いている。
現実を部分として含んだ幻想—言い換えれば、外在は内在の一部でしかないということ。この方向に従属関係を変えること。それが内在野を開く、ということでもある。
内在野の形式は当然、複素空間の形式を持つことになるだろう。それによって、僕らの思考は物質と直接結びつくことになる。思考と「物自体」との初めての接触だ。これによって、世界と自分を分離させて見ることができない新しい生の主体というものが生まれてくる。
この新しい生の主体へと重心を寄せていくこと。そうすれば、僕らは自然自体の中に入って行けるかもしれない。「ある」感覚と「いる」感覚が客観と主観の印象だとすれば、「ある」感覚をすべて消し去ったところに生じてくる純粋な「いる」感覚。それが「なる」感覚の始まりと言えるだろう。
そのとき、複素数は目覚め、僕らは事物の中に住むようになる。
5月 9 2018
ヌース映画本、ようやく大詰め
ヌース映画本。大詰めのところで苦闘中。ヒットした映画をネタにサラっと仕上げるつもりだったのだが、そんな甘い世界ではなかった(笑)。ヌース用語一切ナシ。物理学もほとんどナシ。将棋で言うなら飛車角抜きでの戦い。自分の力量の無さを痛感。果たして、どこまで伝わるのか・・・。
形式は、不思議ネットのライターマキシムさんによるインタビュー形式。心理学専攻の星乃さんと僕との受け答えの中で話が進んでいくので、必然的に、話はフロイト、ラカン、ユング等の精神分析を通した自我論が中心で、現代の若者の心理分析なんかも取り上げています。
ピックアップした作品は「君の名は。」(不思議ネットの記事がそのまま載ります)、「エヴァンゲリオン劇場版」「ロードオブザリング」「マトリックス」「2001年宇宙の旅」という豪華ラインナップ。
これらの作品の分析と平行させながらヌーソロジー的世界観を解説していくという、かなり難易度の高い作業でしたが、今までのヌーソロジー本にしては珍しく、比較的読みやすい、楽しい一冊になるのではないかと思います。
By kohsen • 01_ヌーソロジー, 09_映画・テレビ • 0