たおやかに、心としての空間へ

たおやかに
心としての空間へと
自らを溶け込ませていくこと。
それは、
語られる前のことばが
そっと息づく場所。
目に映るものすべてが、
ほんとうはまだ、
見られる前の柔らかな震えをたたえている。
空間は、
外に広がる硬い殻ではなく、
内側から編まれはじめる
やさしい繭。
測るのではなく、
抱きしめるように。
分類するのではなく、
滲み込むように。
世界に触れるとは、
その肌ざわりのままに、
自らの眼差しをほどいていくこと。
心が空間となり、
空間が心となる。
その織り目の中に入ることによって、
私たちははじめて
「在る」という
秘密を見出す。