「元止揚空間」というものについての解説

ヌーソロジーのいう「元止揚空間」というものについて簡単な解説を試みる。基本なので。。

1. 現代人の空間観の盲点
私たちはふだん、空間を「外側に広がるもの」として疑いなく認識している。それは、目の前に物体があり、それを外部にある客観的実在だと信じ込んでいるからだ。
しかし、この「空間の客体性」は本当に自然な感覚なのだろうか?実は、この空間観そのものが、他者視点化された意識状態に依存していると感じ取れないといけない。この視点の“他者化”は、近代科学が培ってきた外部観察的世界観が作り上げたものである。しかし、それは同時に、自己の視点が剥奪された空間認識でもあるということだ。

2. 自己視点への復帰と空間の変容
「自己視点に立つ」とは、物を対象化することなく、そのまま見ている自分と一体化させることを意味する。重要なことは、この感覚の中で空間にどのような変容が起こっているかを感じ取ることだ。
このとき、空間の構造は大きく変容している。そこでは、かつての空っぽの容器のような空間は姿を消し、自己の内奥へと垂直に沈み込んでいく、自己感覚の充満としての空間=持続空間になっているということだ。
そこでは、空間はもはや客観的実体ではなく、視線の内的構造そのものの展開として立ち現れてくる。

3. 視線の幾何学と元止揚空間の出現
こうした内的持続空間の中で、空間は四重に重なった回転層(層状の空間構文)として意識され始める。細かい説明は省いて、ここではその四つの回転層を一覧しておく。これらの空間は、表にあるように、五感の深層構造としても捉えることができる。

4. 視線の反転=意識の霊化
私たちが「見る」という行為は、本来、視線を奥行き方向へと開くことで成立している。しかしこの奥行きが持続の場へと変化するなら、自己にとってはそれは「他者の持続」との接触の場として感じ取られてくる。
その感覚が立ち上がってきたとき、空間は外部から内部へと霊的に反転する。それがヌーソロジーが言う「空間の霊化」なのだ。
それは、物を外から照らす光によって見るのではなく、自分の中から湧き出る光によって世界を包み込む視覚によって生まれる。

この”元止揚空間"を数理化すると、そのまま量子構造との対応が可能になる——というところが、ヌーソロジーの面白いところだ。この一致によって、量子空間は霊的空間と同一視されていくことになる。