3次元球面と地球表面

 昨日は、浜松で、久々に砂子氏と会った。現在、作成中のテキストの数学的な記述部分の監修をお願いするためだ。新しいヌーステキストに数式を多用する気はさらさらないが、ポイントポイントには、やはり、数学的な定格化は必要となる。必要以上に難しくはしたくないので、数式を登場させるときには必ず別枠で、例えば、「ψ5の数学的表現」といったような形を取って、登場させようかなと思っている。

 まぁ、昨日はそういった流れから、ヌース理論に登場する諸概念の数学的な表現の再確認のために砂子氏のもとを訪れたのだ。対話はやはりとてもエキサイティングなものとなった。そこでは、ψ1→ψ3→ψ5→ψ7といったヌースの次元観察子という概念が、スカラー、ベクトル、スピノール、スカラーという関係に当たるのではないかとか、物理学がいう「力」の本質とは実は観察主体側の位置における認識の強度のことではないかとか、p→-ih(-)∂/∂xなどといった量子化の手順とはヌースでいう外面化の記述にすぎないのではないか、などといった様々な物理解釈で盛り上がった。中でも一番、エキサイティングだったのは、砂子氏が対話の最中にこぼした一言だった。

「半田さん、もし、半田さんの言うように、地球表面がSU(2)が形作る球面だとしたら、その内面化は三次元双曲面として宇宙空間に射影されますね。」
「それって、砂子さん、恒星のことじゃないの?」

SU(2)球面と三次元双曲面の関係は、ヌース的にいうとψ7とψ8の関係に当たる。単純にいうと人類全体が意識する「前」が集まった空間か、「後」が集まった空間かの違いである。地球は普通に考えれば、もちろん2次元の球面だが、その表面上には世界の観察を行っている人間の個体が無数に貼付けられている。この観察次元を考慮すれば、もちろん、単なる2次元球面とは呼べなくなる。個体の知覚正面(前)の全体は、今のところ数学的にはU(1)と見なしているが(この部分は砂子氏とのコンセンサスは取れている)、もしそうならば、この知覚空間を地球上の一点、一点に貼付ければ、

U(1)×S^2=S^3

となる。S^3とは3次元球面のことだ。このS^3はSU(2)と同相である。

 つまり、何が言いたいのかというと、ひょっとすると地球表面と宇宙空間の間には認識の次元を媒介とする高次元のトポロジーで象られた反転関係があって、地球表面上のSU(2)の元の一つ一つが、宇宙空間上の一点一点に射影されるような仕組みがあるのではないかということだ。もちろん、ここで言っているSU(2)の一つ一つの元とは人間の個体の魂のことで、射影される一点一点とは恒星のことである。まだ、具体的なロジックやイメージは浮かんではいないが、おそらくそういった方向で、「人間とは星である」というヌース理論の確信的主張が科学的様相を持って展開されていくことになるだろう。いずれにせよ、地球表面を単なる2次元球面ではなく、3次元球面と見なせるような思考形態が必要である。そのイメージが出てくるまでそう長い時間は要しないだろう。