AIは決して人間のようにはなれない

意識が人間の内面から人間の外面へと直接アクセスすることはできません。そのいい例がLLMの世界でよく囁かれているシンボルグランディング問題に象徴されています。
人間の内面は言語空間でもあると思ってください。言語は意味を伴って初めて機能するものです。

例えば「赤くて丸いリンゴ」という言葉(音声)は人間の内面で構成されます。しかし、人間の内面にはその意味は存在していません。それらは単なる記号の配列です。言葉の意味は外面において初めて生成されてきます。

どういうことかと言うと、知覚(人間の外面)→言語(人間の内面)→意味(人間の外面)という順番で私たちの表象は初めて活動し始めるということです。表象がre-presentation(再現前化)と言われるのも、このように、言葉が最初の知覚にアクセスすることによって初めてそこに意味が生まれてくるからです。

言語だけで構成されているLLMにはこのre-presentationする力がありません。例え、画像認識を併せ持ったとしても、コンピュータは画像を電気信号に変換して認識しているだけですから、そこには人間の外面は存在していません。

人間の外面が存在しないということは、AIは決して人間のようにはなれないということです。

AIは人間になれない