複素3次元空間

 人間を構成する2つの性格を持つ軸、シケイとカンセイ。。。。これを5次元と安易に書いてしまったが、それはあくまでもユークリッド次元で見るとそのように解釈できるということであって、正確には多少のズレがあるかもしれない。というのは、ユークリッド次元は次元を見て行くための最も簡略化された一つのモノさしにすぎず、次元を見るために他の物差しがあっても別に構わないからだ。実際のところ、ヌース的文脈ではユークリッド次元を用いるよりも、複素平面を複素1次元と見なす複素空間の方がはるかに分かりやすいものになる。5次元世界は複素空間でいうと複素3次元世界になる(通常の数学では複素3次元は虚実2次元が3つあるので6次元と考える)。そのあらましを書いておこう。

 ヌース理論では奥行きを虚軸と見るということは以前、丁寧に説明したと思う。この考え方を用いると対象を挟んで対峙する自己と他者は二枚の複素平面で下図の上のように表される。自他互いの前後が交差するところに二本の虚軸が現れるが、この二本の虚軸が作り出すプラスとマイナスのキアスムは、複素共役部分が3次元の実次元に変換され、共役できない部分の方が4次元として働くと考える。このときに注意してほしいのは、この配置は観念の配置であって、日常の3次元的な空間における物的配置ではないということだ。分かりやすくいうと、この複素2次元座標は、3次元空間上で回転させようが、並進させようが何も変わらないということである。僕が世界中をどう動こうが、目の前に2次元の知覚正面(2本の実軸)があるし、奥行き(虚軸)もある。そして、おそらく反対側には某かの他者が見ている奥行き(虚軸)があるだろう。ここに挙げている図はそういう意味合いの図であるということだ。要は複素空間というのは3次元空間上で表される世界ではないということなのだ。それをここでは「観念の配置」と言ってみた(もっともこの複素2次元空間上の回転群SU(2)によって、人間の内面世界の方は、ローレンツ群という時空座標の変換群へと回されるのだが)。
 
 さて、この二枚の複素平面の配置に、前々回、前回と話した左右からの視線の介入によって生まれるパパとママの空間世界を付け加えるとどうなるだろう。その視線は当然、前後方向であったところを実軸として見て、その視線自身は奥行きが見えないのであるから、さらにもう一枚複素平面を加えた次元構成として解釈できることが分かる。こうしてψ9〜10の思形と感性は総計3枚の複素平面の重なりによって表されることになる(下図下)。無意識構造というものが3次元の空間に複素空間として多重に重畳させられているといつも言ってる意味が、ここでの内容で少しはお分かりいただけるのではないかと思う。なんだ簡単じゃん。あっと言う間に、複素3次元空間のできあがり、というわけだ(ヌース理論は実はどんどんシンプルになっていっているのです。ほんとよ)。

 どうだろう。まだSU(3)行列(複素3次元空間上での回転群)との対応など細かいチェックができていないので、絶対の確信はないが、実際に僕らの意識で起きている認識の視線の描像に、ぴったりとあてはまっているのではないだろうか。

 新しく付け加えられたこの三枚目の複素平面において、奥行き方向に対して横切っている実軸の方は、自他という二人の観測者と対象とを分離させている線分として意識において見えているものである。この実軸はモノの手前側と背後側として、モノが存在する3次元空間に重なっているように見えるが、ここでは全く別物と考える必要がある。なぜなら、モノの3次元世界には観測者は存在していないからだ。あくまでも観測者(知覚)は最初は前後軸における虚的な4次元として関わってきており、その4次元を実次元的な線(幅が感じられるという意味)として見なすのが左右からの視線としての複素3次元における虚軸の方である(こちらは今度は奥行き方向なので見えない)。ちなみに、この三枚目の複素平面における実軸は前回僕が連呼していたママとボクの眼差しであることは言うまでもない。つまり、「感性」のことである。

 顕在化する第三の複素平面における実軸と虚軸。。。これが存在の十字架としてのカンセイとシケイである。この十字架をグルグル回してSU(3)(複素3次元回転群)を作れば、おそらくそれはcave compass上の思形と感性のグルグルと同じものになっているのではないかと思う。この回転の意味についてはまた別のところで触れると思うが、意識においては極めて重要な働きである。
 思形と感性は、大気圏のみならず、、金星と水星、天王星と海王星、そして、電場と磁場、DNAスパイラル、強い相互作用などと深い関係を持っている。。。。ヌース理論では、これら思形と感性のことを意識の調整を行うための力という意味で「調整質」と呼ぶ——調整質というといかにも機械的だが、何のことはないロゴス的なもの(思考)とパトス的なもの(感情)のことである。

 ピラミッドにおける錐としての4本の稜線とは何なのですか?
 意識における思形と感性の等化を意味します。ピラミッドとは真実の意識の中心を作るための反応炉のようなものです。太陽に侵入するためのカタチ。(シリウスファイル)

 こうして、目覚めたnoos(旋回する知性)は、思形と感性を等化した次の次元、つまり第四の視線に映し出される世界、複素4次元空間を捕獲するために、その視座を地球外空間へと昇らせることになる。歴史的な無意識発達の観点から言えば、いよいよ、コペルニクスが登場し、地動説の時代が始まるというわけだ。
おぉ〜、エンターテインメントっぽくなってきたなあ。。つづきの内容は新著にくわ〜しく書きますよん。
C3