5月 2 2008
時間と別れるための50の方法(8)
視野空間を「面」として見る——このことは決して視野空間を2次元の平面として見るという意味ではないので気をつけて下さい。視野空間と云えども、そこには奥行き方向も含まれているわけですから、ここでOCOTのいう「面」とはあくまでも3次元空間のことになります(正確には3次元空間内の一つの方向が一点同一視され面のようなものへと変換された「2次元射影空間」というカタチです)。このことは、こうした「面」を見ることにおいて、その観察の視線は一つ上位の次元に存在しているはずですから、この「面」への観察が行われている空間が4次元空間であることを示唆しています。
普段、僕らは空間を3次元と考えているので、世界に対して視線が入射してくる方向を、視野に映っている面をx-y平面と考えれば、それに直交するz方向として考えがちです。しかし、このような思考は自分の位置をすでに3次元空間上の点のようなものとして想像してしまっていることによって生まれてきています。つまり、前々回、前回と詳しくお話ししたように、モノの手前側に自身の目玉や頭部を想像的に位置づけて、そこに「世界を見てるとする自分」の位置を思い措き、その鏡像とも言っていい位置に3次元的方向を見出し、概念化しているのです。ですから、本来の実像としての自分、つまり、「前」=知覚正面自体は、この3次元性の中には存在していません。
ホントウノ、ワタシ、トハ、モノソノモノ、ノコト、デハナカッタ、ノカ?
デハ、モノハ、ナゼ、ワタシヲ、モノノ、ガイブニ、オイヤル、ヒツヨウガ、アッタ、ノカ?
言うまでもなく、モノそのものはモノを見ることはできません。モノがモノを見るためには、モノではないもの、つまり、モノをモノとして対象化できる外部を作り出す必要があります。そして、モノを対象化する外部を作るためには、モノ自体をその外部へと逸脱させるための能動力と、その反映として現れる受動力の二つの方向性が必要になります。もちろん、ここでいう受動力の方が鏡像としての「わたし」です。なぜなら、その「わたし」はモノの由来を知らないからてす。その「わたし」は、ただ、モノを受け取るしか能がない。生まれて気がついたらモノが目の前にあった。
しかし、他方の能動力の方はモノの由来をある程度は知っています。知っているからこそ、モノ自体の世界さえをも乗り越えて彼岸に渡ろうとしたわけです。その意味で、この能動力は此岸にいる「わたし」には決して触れることのできないもの、つまり、他者となっているのです。本来、世界そのものであったわたし。そこに鏡としての他者がすでに配置されており、その中に、人間としてのわたしが産み落とされる。そして、わたしはその鏡像に同一化し、わたし本来の「前」を喪失し、今度は他者の後ろを持ち込む。。光速度という名のわたしの皮膚はそのでっち上げの偽の「前」方向への視線によって突き破られ、主体であったモノは客体としてのモノのように振る舞うようになる。要は、他者という名の鏡と自己という名の鏡像が能動と受動の関係を作っているということです。
こうして、「あなた」という存在、つまり他者は、「わたし」にとって、モノから常に超出した、モノの彼方にいる者として存在し、一方の「わたし」、つまり自己はモノから常に疎外され、未だモノに成りきれぬ者として、モノの手前に存在させられているわけです。以前、お話したように、これら三者はオリオン(真実の人間)、シリウス(ヒト)、プレアデス(人間)の関係にあります。
モノジタイ、デアルコト、ハ、ラクエン、デ、アッタ。
アダム、ト、イブ、ハ、ナゼ、ラクエン、カラ、オイダサレナケレバ、ナラナカッタ、ノカ?
モノからのこの相異なる二つの方向への相補的分離の様子は「人神/アドバンスト・エディション」の380頁で紹介した交合円錐のモデル(図9/向かい合う他者の視野空間と交合円錐)を使うと比較的簡単にイメージすることができます。
この交合円錐モデルでは、自他の視野空間と瞳孔の関係を互いに交差する二つの円錐の底面と頂点の捻れの関係で表しました。このとき、自他の視野空間をモノから超出した力、自他の瞳孔をモノから疎外された力と考えてみるのです。というのも、瞳孔とはわたしたちが普段、3次元空間内で自分の位置と考えている場所のことであり、その瞳孔に対する認識は、上にも示したように、他者の視野空間に支えられて初めて出現することができるものだからです。——まだまだ続きますよ。
2008年5月2日 @ 22:54
コウセンさん、こんばんは。
少しヌースのイデア空間における立体について考えています。これは、以下のような感じではないかと私は考えます。
カルタン分類An(SU(n+1))群の次元:(n+1)^2-1は、コクセター分類An鏡映群の鏡の数:{(n+1)^2-1-n}/2=n(n+1)/2=第n番目の三角数と関係し、このAn鏡映群はn次元正単体(正4面体の拡張版)を作ります。これをヌースではイデアのレベルにおける「前」「後」のいずれかと呼ぶように思います。
カルタン分類Bn(SO(2n+1))群の次元:2n(2n+1)/2は、コクセター分類Bn鏡映群の鏡の数:{2n(2n+1)/2-n}/2=n^2=第n番目の四角数と関係し、このBn鏡映群はn次元立方体(正6面体の拡張版)を作ります。これをヌースではイデアのレベルにおける「前-後」と呼ぶように思います。
したがって、コクセター分類A3の鏡映群は、3次元正単体=正4面体を生み出し、カルタン分類A3=SU(4)群と関係します。これがヌースの次元観察子ψ11~ψ12の精神構造と関係し、凝縮化してψ5~ψ6のカタチが正4面体となるのだと考えます。
コクセター分類B3の鏡映群は、3次元立方体=正6面体を生み出し、カルタン分類B3=SO(7)群と関係します。これがヌースの次元観察子ψ13~ψ14の精神構造と関係し、凝縮化してψ7~ψ8のカタチが正6面体となるのだと考えます。
2008年5月3日 @ 15:12
Φさん、例によって、数学的なオリエンテーションを示していただき感謝です。コクセター分類というのは初めて聞きました。今の僕の能力では理解が不能ですが、かなり核心をついたイメージなのでしょうね。大学で研究会ができたら、研究発表の場も設けますので、是非、顔を出されるといいと思います。
ヌースでは基本的に「前-後」「前-後*」「前-前*」「前*-後」「前*-後*」「後-後*」という六つの絡み合いから、意識のシステムが組み上がってくると考えるのですが、このクラインの4元群的なベースが、群論全体に見受けられる、ということはないのでしょうか?
2008年5月3日 @ 21:36
コクセター分類B2の鏡映群は、2次元立方体=正4角形を生み出し、カルタン分類B2=SO(5)群と関係します。これがヌースの次元観察子ψ9~ψ10の精神構造と関係し、凝縮化してψ3~ψ4のカタチが正4角形となるのだと考えます。B2の鏡映群の鏡の数は「4」です。
ちなみに、コクセター分類A2の鏡映群は、2次元正単体=正3角形を生み出し、カルタン分類A2=SU(3)群と関係します。これがヌースの次元観察子ψ7~ψ8の精神構造と深く関わってくるように思います。A2の鏡映群の鏡の数は「3」です。
ところで、カルタン分類Dn(SO(2n))群の次元:2n(2n-1)/2は、コクセター分類Dn鏡映群の鏡の数:{2n(2n-1)/2-n}/2=2n(n-1)=第(n-1)番目の三角数の2倍と関係します。これをヌースではイデアのレベルにおける「前,後」と言った感じで呼ぶことになるように思います。前述したイデアのレベルにおける「前-後」が「等化」なら、「前,後」は「中和」といったイメージなのかもしれません。
したがって、コクセター分類D2の鏡映群は、カルタン分類D2=SO(4)群と関係します。これがヌースの次元観察子ψ7~ψ8の精神構造と関係し、凝縮化してψ1~ψ2というカタチを持たないものとなるのだと考えます。D2の鏡映群の鏡の数は「2」です。
このA2とD2の鏡の数「3」「2」(もしくはB2の「4」)がそれぞれ男性、女性を象徴する数字になっているのかもしれませんね。
また、コクセター分類A1=B1の鏡映群は、1次元立方体=線分を生み出し、カルタン分類A1=SU(2),B1=SO(3)群と関係します。これがヌースの次元観察子ψ5~ψ6の精神構造と関係するのだと考えます。A1=B1の鏡映群の鏡の数は「1」です。
なお、前述したコクセター分類A3の鏡映群の鏡の数は「6」で、コクセター分類B3の鏡映群の鏡の数は「9」です。
これらはいずれcave compass上の情動運動とも連動してくるのかもしれませんね。
2008年5月7日 @ 20:16
鏡というものの正体は何なのでしょうね。鏡は死者の出入り口であるという話を聞いたことがあります。死者の出入り口-次元の扉でしょうか?とにかく、鏡が三次元的な目で見えるイメージだけを映し出しているものではなく、霊的な、エネルギー的なものをも映し出すものだということは間違いないと思います。
鏡というもの、または性質が次元に、そして世界に大きく影響している、またはそれによって次元が成り立っている、もしくはコントロールされている、というようなイメージが浮かんだりします。
確かに三次元空間に生きる人間の健在意識は鏡の中のイメージだけを見ている、モノがモノ自身を見ることができない状態、自分自身をひとつの点として考えているように思われます。
しかし、実際にはモノにはモノが見える、人には人が見える。三次元空間の特徴、またはこの鏡の世界だけの特徴なのか、目は目を見ることができない、けれども三次元空間は当然、同時に多次元にも存在している。そして多次元的な(何次元か、上の次元なのか、下の次元なのかということはわかりませんが。)感覚で見た場合、私は点ではなくなり、モノにはモノが見える、人には人が見える―コウセンさんがかかれていたのも、こういった意味だと感じたのですが?
前回も書きましたが、夢の中では自分自身が、目も後頭部も含め見えている。夢の中では目で見ているわけではないので当然でしょうか。人間以外の生物は夢の中と三次元空間の境目があまりはっきりしていないんじゃないかなと思っているんです、それで、彼らは彼ら自身が見えたり、見えなかったりしているんじゃないかと、漠然とイメージしています。
三次元という鏡の中の生活っていうのも結構楽しくて私は好きです。また、実像だと思っていたものが、実際には鏡像であるかもしれない。鏡とはひとつの想像のパターンであるような・・・。
鏡の中に住むナルシスが鏡の中の鏡の中に住む自分とそっくりのものに恋をする、この場合、鏡の中の鏡の中のナルシスが虚像であるならば、ナルシスを呼び続ける鏡の中のエコーもやはり虚像であり、ただエコーがナルシスほど美しく、魅力的ではなかったというだけの話かもしれません。
果たして鏡の中の風景は虚像なのだろうか?鏡の中を虚像とするならば、実像を見つけ出すために相当多くの次元をさかのぼらなければならないかもしれません。それでもたぶん見つからないんじゃないかな。
鏡の中と外はもちろんまったく同じというわけではなく、それはあるひとつの想像の方法だと考えられないかな。鏡という効果を使った、新しい世界、新しい真実。鏡の中に入っていく能力を持たない三次元のイメージに制約された私たちは、鏡の中の世界を軽視する、またはほとんど価値のない、存在さえしないものと考えがちだけど、実際にはそうでないように思う。
鏡の中の世界を題材とした話は数え切れない。鏡の中にもそれなりの想像の世界、真実があると思えるんですが。
時間が同時に存在しているように、次元もやはり同時に存在しているとするならば、そしてすべての時間と次元が継ぎ目なく繋がっているとするならば、真実は鏡の中にも、実在の中にも同じように存在し、鏡と実像の間の関係は永遠に続いているようにも思われます。
コウセンさん、続き楽しみにしています!