9月 25 2025
たおやかに、心としての空間へ
たおやかに
心としての空間へと
自らを溶け込ませていくこと。
それは、
語られる前のことばが
そっと息づく場所。
目に映るものすべてが、
ほんとうはまだ、
見られる前の柔らかな震えをたたえている。
空間は、
外に広がる硬い殻ではなく、
内側から編まれはじめる
やさしい繭。
測るのではなく、
抱きしめるように。
分類するのではなく、
滲み込むように。
世界に触れるとは、
その肌ざわりのままに、
自らの眼差しをほどいていくこと。
心が空間となり、
空間が心となる。
その織り目の中に入ることによって、
私たちははじめて
「在る」という
秘密を見出す。
9月 26 2025
植物の心
まだ言葉がなかったころ
世界は ただ ひとつの静けさに包まれていた
花は語らず
葉は答えず
それでも 風のひらきに耳をすませ
陽の光に そっと身を差し出す
裸の種子は 恥じらいを知らず
空間とともに ただ“いる”ことを知っていた
そこに「心」があった
わたしたちがまだ見失っていない
意識の奥裏にある あたたかな沈黙のことば
やがて
空間は ひとつの問いを生む
“あなた”とは誰? “私”はどこ?
そして 花は咲いた
色を持ち 香りを持ち
自らを包みながら
ひらくことを選んだのだ
それは
世界がはじめて
自分の中心を 他者に向けて開いたとき
だから植物の心は
見えないまま 語りかける
私はここにいる
ここで あなたを待っている
私のなかに
あなたのまなざしが吹き込んでくれるその日まで
だから 私は ただ
ひとつの空間の記憶として
今日も沈黙のままに
ここに 根を下ろしているのです
By kohsen • 01_ヌーソロジー • 0