9月 27 2008
英語版『人神』製本完了!!
やっと『2013: 人類が神を見る日』の英語版——2013: The day God sees God——の印刷が上がってきた。版元はnatural spirit International Publication。ナチュラルスピリット社の米国の事業所である。
本の出来はとてもいい。ハードカバーで250ページ。日本版が365ページだったから、100ページほど短くなっているが、サイズはその分大きい。表紙デザインは今年2月に徳間書店から出た『2013: 人類が神を見る日/アドバンストエディション』と同じだか、英語タイトルは白抜き文字で周りにはレッドメタルの箔押しが施され、かなりクールな仕上がりになっている。さすがzatoさん(伝説の雑誌「zavtone}のチーフデザイナー)という感じだ。
この翻訳本の出版はこのzatoさんと翻訳を担当してくれたカナダ在住のAkemiさんなしには語れない。zatoさんが2000年頃、バイリンガル雑誌だったzavtoneに『人神』の英語訳を第4章ぐらいまで掲載してくれ、その翻訳文を読んだAkemiさんが、もっといい翻訳をした方がいいとアドバイスをくれて、自ら、一年以上かけて翻訳にチャレンジ。その元原稿にネイティブのエディターが手を入れ、ようやくテキストは完成。しかし、今度は編集作業でいろいろな行き違いが生じ、装丁デザインや印刷でもトラブル続出。なんだかんだで、プロジェクト開始から2年以上の月日を費やしてしまった。
しかし、難産の甲斐あって、ほんとうにいい本に仕上がりました。ナチュスピの今井さん、春山さん、そして、zatoさんにAkemiさん、ほんとうにありがとうございました。この場を借りて深くお礼申し上げます。
この本が米国の書店に並んだら、今度は米国ツアーだな。向こうのニューエイジに日本発のcool spiritualismとしてのnoosologyをブチかましてきます。。。。って、わし英語できたっけ?
10月 10 2008
時間と別れるための50の方法(42)
●4次元知覚の世界へ(脱-表象化の世界へ)
さて、「時間と別れるための50の方法」と銘打って『人神/アドバンストエディション』で補填した小論『トランスフォーマー型ゲシュタルト――ベーシックプログラム』の内容のより噛み砕いた解説を試みてきましたが、この次元観察子ψ5~ψ6レベルの説明の段階に至って「4次元空間の方向が観測者の絶対的前そのもののことである」という内容にかなり戸惑っていらっしゃる方も多いのではないかと思います。かくゆう僕もこの結論に達するまでかなりの紆余曲折がありました。
約10年前に例の「立方体鉛筆」(『人神/アドバンンストエディション』p.179)でその位置に接近遭遇したものの、そこから4次元の論理をどう組み立てていいものか見当もつかず、シリウスファイルはもちろんのこと、哲学書や慣れない物理書や数学書と睨めっこする日々が続きました。「前が4次元空間の方向である」とする言説が思考として力を持つためには、もしそのように世界を見たときに、一体、どのような新しい知識が僕らにもたらされるのか、さらには、そこで獲得された知識によって、これまでの世界がどのような意味の変更を迫られるのか、その具体的なビジョンが得られる必要があります。つまり4次元から見た知の体系、概念の体系の素描が求められてくるわけです。そのビジョンが構築できる可能性がなければ、この言説は、巷に氾濫している「霊界とは4次元である」といったようなトンデモ言説と何も変わるものではなくなってしまいます。
4次元世界に関する考察は『光の箱舟』にも書いたように、百年以上も前からたくさんの思想家、哲学者、科学者によって為されています。しかし、未だにその正体は解明されてはいません。もちろん、4次元なんてものは所詮、人間の想像力の産物であって、理性自体が3次元認識をベースとして構造化されているのだから、理性によって4次元を捉えることなど不可能だ、と考えることもできます。しかし、時代は今や高次元の知覚を要求しつつあります。というのも、物質という存在をそれこそ信念体系としていた物理学自体が、物質の大本の成り立ちに4次元空間は言うに及ばず、それ以上の高次の空間の構造体が暗躍していることを明らかにしてきているからです。
物質を確かな存在だと認めるならば、当然、そのもととなる高次元空間も確固たる存在だと言わざるを得なくなります。しかし、物質という概念に捕われている思考(人間型ゲシュタルト)には、それらの高次元がいかなる意味を持っているのかについては皆目、見当もついていないというのが現在の思想状況です――このように、4次元以上の高次元空間とはいわば人間の宇宙に対する理解を阻んでいる強固な障壁となっているわけです。わたしたちが近代以降培ってきた思考の道具ではおそらくこの障壁の乗り越えは不可能でしょう。4次元空間とは何かという問いに対する回答には、当然、この壁を乗り越えられるだけの力がなくてはなりません。上にも書いたように、世界を別の風景へと変貌させる意味の連結、連動、連鎖が存在しなければならないのです。
さて、もう一度いいましょう――4次元空間の方向とは観測者の絶対的前そのもののことである。
果たしてここからいかなる新しい世界の展望が開けてくるというのでしょうか。今まで書いてきたことを念頭において、ヌーソロジーが4次元空間を考察していくに当たっての前提とする内容を箇条書きにまとめてみましょう。
この諸前提に留意しながら、もし4次元知覚の獲得に成功した知性があるとすれば、自己や他者、さらにはモノといった普段、接し慣れている諸事物が一体どのように見えてくるのか、もう少し具体的な描写を試みていくことにします。そこに予期しなかった意味の連結や連動が起こってくるならば、それこそ「ガッチャ!!(Gotcha!!)」です。——つづく
By kohsen • 時間と別れるための50の方法 • 2 • Tags: トランスフォーマー型ゲシュタルト, 人間型ゲシュタルト, 人類が神を見る日, 光の箱舟