Mama dancing

 1980年のことだから、もうあれこれ26年前のことになるだろうか。若干23歳のときにやっていたバンドのデモテープのCDがわたしのもとに送られて来た。差出人は当時の音楽仲間だ。いやぁ〜、何と懐かしい。ヌースをやり始めてからというもの過去の回想に耽ることはほとんどなかったが、このテープだけは別だ。当時を懐かしむように何度も何度もリプレイして聴いている。

 全9曲入りのデモテープは当時としてはアルバム制作に匹敵する思い入れで作ったものだが、今聴いてみるとかなりショッパイ(笑)。使えるのはせいぜい3〜4曲程度。当時は日本最高のポップロックを作ろうと意気込んでいたのだが、やはり歌謡ロックの域を出ていないことを改めて痛感する。センスがイマイチなのだ。ポップロックの条件は3分30秒以内の世界でいかに楽曲の世界を広げうるかにある。4分以上の曲作りは第一戦級のミュージシャンだけに許される。当時そう信じて疑わなかったわたしは、つねにコンパクトでふくよかな曲作りを心がけていた。短い楽曲の割に構成もよく練られているし、それなりに華やいだ力強さもある。。しかし、、肝心のボーカルとメロのリズムの取り方がやっぱりダサイ(笑)。

 このデモテープのあと、エピックソニーから佐野元春が「ガラスのジェネレーション」でデビュー。ガ〜ん!!わたしは潔くポップロックを諦め、ポップソウル(笑)に方向性を転換していったのだが、ソウルのボーカルはとても執れないのでソングライターとしてプロの道に進もうと考えていた。所属のレコード会社もワーナーパイオニアからキャニオンへと移った。キャニオンでレコードを出すか出さないかというときに、例の発狂事件に巻き込まれる。

 26年という月日が経ってもわたしの本質は何一つ変わっていない。湧き上がる情動の中に今ひとつ弾けきれない塞ぎがちのマイナー7thの自分がいる。何事も自分の和声を根底から叩き壊さなければ一流のものは生み出せない。かなり恥ずかしいが一曲だけネット上で公開しておこう。

 Mama dancing(1979)
(Music by Hironobu Handa、Words by Mitsumaro Ono &Hironobu Handa)

ビートルズの「Magical Mystery Tour」に収められている「Your mother should know」とスーパートランプの「Breakfast in America」に共通して漂うマイナー7thコード特有の哀愁を、よりタイトな8ビート感覚でダンディに表現する(したい)というコンセプトで作った曲。最後のギターソロはツェッペリンの「天国への階段」を意識したが、ちょっと長過ぎか。ちなみに、この曲、作詞は若かりし日の小野満麿氏(痴性体トーラスさん)との合作である。

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