内面振動と外面振動

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アンダラセンさんからヌース会議室の方にe^iθ回転についての書き込みがあった。この際だから、e^iθ回転に関する目下のところのヌース解釈を取りまとめて書いておこうと思う。

 e^iθ回転とは有名なオイラーの公式e^iθ=cos(θ)+I sin(θ)が表す円軌道のことだ。これは、複素平面上では、原点Oを中心とする半径1の円として表される。

 さて、このe^iθ回転だが、ヌースの解釈では、これは人間の意識における内面位置と外面位置の相互補完的な関係を表している。虚軸方向の振動(sin振動/上図ブルー)が外面位置ψ3領域の振動で、実軸方向の振動(cos振動/上図レッド)が内面位置ψ4領域の振動である。量子論ではこれらが運動量pの確率振幅と位置r(x,y,z)の確率振幅として解釈される(ヌースでは運動量次元=ψ3、位置次元=ψ4と解釈している)。

内面振動とは何かというと、それは、自他においては、空間の3次元方向への膨張と収縮のイメージとして現れる。意識には空間の延長を想像する能力が備わっている。「直径30cmのバスケットボールを想像して下さい」と言われれば、意識は即座にそのイメージを作り出すことができる。それが直径約12742kmの地球という球体の場合であれ同じだろう。意識はそれを思い描くことができる。意識は空間の広がりや縮まりを、スケールに縛られることなく、自由に飛び回って想像する力を持っているわけである。そこで振動している力がここで内面振動と言っているものと考えていい。

 一方、外面振動とは何かというと、それは、そうした内面振動をノエマ(意識対象)として想像しているノエシス(意識主体)側の働きである。言い換えれば、つねに延長としての球体を外部から観察できる意識の位置と言っていいだろう。ここにも実は振動が存在している。極端な話、宇宙の半径が137億光年と言われれば、僕らはとてつもなく巨大な空間の玉を想像する。この想像はある意味、内面振動における膨張の極限のようなものである。しかし、そこに直径なにがしという球体の象り(かたどり)が想像されている限り、意識はそれを外部側(外面)から捉えているということにもなる。もちろん、この場合の位置は、外部側の極限でもあるわけだが。こうした外面の位置も内面振動とともに表裏一体で振動していると考えるわけだ。

 このように、意識を空間そのものに内属する性質と考えれば、内面が縮めば縮むほど外面は膨張していくし、一方、外面が縮めば縮むほど内面は膨張していく。この反復の様子は容易に君の意識にも「想像」できることだろう。そして、そうした想像力の在り方は、実際には、君と僕の間では互いに反転している。というのも、君を取り囲む球体を僕は外部から認識できるからだ。もちろん、その逆もアリである。

 僕らの空間認識では、こうした自他間の「内・外」の相互反転関係が見えておらず、内=内*、外=外*というように、それらを互いに同一視してしまっている。この同一視が、結果として、数学上では複素共役関係の積として表されることになる。量子論的に言えば、客観空間で一つの特定の位置r(x,y,z)や運動量pの確率を決定するには、このψψ*という掛け算がどうしても必要になるということだ。

 さて、こうした解釈を総合して、このe^iθという円環上の座標点の運動が何をなぞっているのかについて考えると、答えはすぐに出てくる。それは、意識における空間上の球形の「象り」である。この象りの振動は、別の言い方をすれば、自他間での意識の相補的な呼吸であるとも言える。光と闇を相互に交換し合いながら、それらのバランスを常に量ろうとする精神の確固たる中立性、このe^iθ回転にはそうした意思が現れているのである。e^iθ回転の場とは物理的に言えば電磁場でもあるのだが、ヌース的には、電磁力における力のやり取りとは、自他間における空間認識の交換場所としてイメージされてくることになる。