魂の反撃のために―追記3

さて、時空と持続空間の相互反転関係の図だが、もし、こうした空間認識の反転が自他双方から起こるなら、それは当然、下図のようなフォーメーションを形作ってくることになる。
 
私たちは、普通、時空上で言葉や眼差しを交わし合っていると思いがちだが、それは単なる物質空間でのイメージに過ぎず、はっきり言えば間違っている。人間が「いる」場所は、そんな場所ではない。
 
この図が示している「青い玉」の重なりは、自他のほんとうの交通空間が人間の外面の空間同士の中にあるということを示唆している。
 
この重なりが開いていく交通空間の中に、自他間のほんとうの呼びかけの声と応答の声が響き合っていると考えよう。この場所は「明かしえぬ共同体」(ブランショ)が活動している場所とも言っていい。
 
明かしえぬ共同体とは、一言で言うなら「共同体を持たない人びとの共同体」のような意味だ。
 
反転認識による奥行きの空間の開示は、この「明かしえぬ共同体」の場所を今までのどんな思想、哲学よりも、明確に示してくることだろう。―それは時空認識では想像もできなかった絶対的外部にあるコミュニオンの世界でもある。コミュニケーションでもコミュニズムでもない真の精神の交通空間がそこには存在している。
 
ちなみに、「コミュニオン」とは、キリスト教に言う「聖体拝領」の意味でもある。

浮上を開始する「明かしえぬ共同体の場所」