新しい外部を目指して

 昨年8月に始めた今回のレクチャーシリーズも今度の8月21日(土)の開催で予定の全12回を終了する。過去のシリーズでは回を重ねる度に参加者の人数が激減していったものだが(笑)、今回のシリーズは準備も入念に行ったことも手伝って最後まで参加者が目減りしなかった。実に有り難いことだ。拙いレクチャーにもかかわらず辛抱強く参加し続けていただいた参加者の皆さんには、この場を借りて心からお礼を言いたい。

 さて、肝心のレクチャー内容にについてだが、自分が今伝えたいことを全部伝えられたかというと、まだまだ説明不足な部分が多かったという反省点が残る。今回のシリーズでは、結果的に各回約4時間、全12回で延べ約48時間にわたってヌーソロジーに関して喋りに喋りまくったということになるのだが、全体像から見れば、おそらくまだ半分も語れていないかもしれない。パフォーマンス自体のクラルテとエクステンドについてもまだまだ満足できるものにはなってはいない。構造的な部分に関する数学的な裏付け、風景伝達における詩情豊かな表現、あと図表などのデザイン性の追求など、これらは僕の中ではヌーソロジーを今までにはない思想のスタイルにするための必須事項なのだが、それらをレクチャーというライブの場で表現するにはもっともっと自己錬磨が必要だ。

 でも、収穫も多々あった。僕自身ヌーソロジーの全体像の骨格がようやくはっきりと見えてきたということだ。ヌーソロジーは宇宙論の体裁はとっているものの、その本質は人間論である。いや、もっと言えば自己-他者論である。前回のブログ記事でも書いたが、M・ブーバーの言葉を借りれば「永遠の汝」への語りかけである。永遠の汝へと物質という架橋を使って到達するための方法論の展開である。もちろんこの道のりは果てしなく遠い。到達地点があるかどうかさえもおぼつかない。しかし、それが自分のやりたいことなのだから仕方ない。何はともあれ、21日の最終レクチャーは辻褄合わせや細かい部分に萎縮することなく、自然体で楽しみながらダイナミックに終わりたい。

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