【ヌースの基本概念】人間の外面・内面と複素空間

自他の間で同一化した3次元空間を二つに分割する―それがこの人間の外面と内面という概念が果たす役割です。人間の外面とは「見ることが起きている空間」、一方の人間の内面とは「見られること」が起きている空間と覚えておくといいと思います(下図上参照)。
 
普段、僕らは「物の手前に自分がいる」という感覚で空間を認識していますから、そのときの空間は「人間の内面」の空間になります。「物の手前に自分がいる」という感じ方は鏡像(他人から見られた自分)だということですね。
 
「物の手前に自分がいる」と自分の位置を概念化した時点で、物と自分は別々のものとして分離してしまいます。主客の分離感覚はこのように人間の内面が作り出してきます。目が物を見ているとか、外界からの光を目が捉えている、などいった物言いは、すべてこの人間の内面の意識をベースにしたものと考えるといいでしょう。
 
一方、人間の外面の空間の方は、あるがまま、見えるがままの空間です。ここには世界を見ている目、顔、頭などといった認識はありません。「対象の手前」の認識がないのですから当たり前です。ヌースが「ヘッドレスになれ」といつもアジってるのも、この人間の外面の空間を発見せよ、という意味で言っています。
 
このあたりの話は哲学の世界では大森荘蔵が「面体分岐」という言葉で詳しく説明していますが、あまり一般には浸透していません。大森荘蔵のいう「面」が人間の外面に当たり、「体」が人間の内面に当たります。興味がある人は調べてみて下さい。
 
さて、この人間の内面と外面という概念ですが、下図上で見ると互いに180度の関係で真反対を向いているように見えますが、実際の意識の運動を通して見ると、互いに90度の直交関係にあります。どういうことかと言うと、意識が物の手前を認識するときは、下図下で示すように、世界を見る眼差し自体が90度、横側に回りこんでいるのです。
 
図をよく見れば、奥行き自体が左側に回って、奥行きだったところが幅化する様子がよく分かるのではないかと思います。本来、見る空間は大森荘蔵が言うように潰された面なのですが、持続の中で奥行きが横に回り込み、あたかも奥行きに幅があるかのように想像されています。
 
この図のように、奥行きを虚軸、幅を実軸とおくと、この人間の内面と外面を併せ持った空間は数学には複素空間として対応させることが可能になってきます。
 
たまたまシオリちゃんの言葉がリツイートされてきたので、ついでに書いておくと、この「見ること」が起こっている空間は幅の空間ではなく「奥行き」ですから潰れています(数学的には射影)。ですから、3次元認識から言うと「物の中」にあります。見ることは、ほんとは物の中で起こってるんです。
 
ほんとうのみてるってのは、
中からみてるという意味で
目でみてるわけじゃないの。
@khsiorim7nsnkh4 2016年8月21日
 
実空間と虚空間が反転しているという意味、さらには、そのような反転関係が複素空間では実軸と虚軸の直交関係として表現される、ということが少しはイメージできるようになってきたのではないでしょうか。
 
この複素平面がグルグルと回転している状態が物理学が波動関数ψ(x,t)と呼んでいるものだと考えるといいと思います。わたしたちの意識は人間の内面と外面の間で振動しているんですね。
 
そして、この振動が、わたしたちの広大な内在性への入り口になっています。
 
人類の根底的な意識変動がこれからほんとに始まってきますよ。柔軟な頭で対応していきましょう^^

人間の外面と内面
人間の外面・内面と複素空間の対応