ψ6/Ψ5と記憶の関係

⚫︎ψ5の記憶:持続の核における「非時間的な記憶」
ψ5の記憶は、時間の中を移動していくような記憶ではありません。むしろ、「今この瞬間」に全体が“濃縮”されているような、一挙的・凝縮的な記憶です。
例えば、ある懐かしい場所に行ったとき、なぜか“過去すべてが一気によみがえる”ような経験。
ある曲を聞いた瞬間、言葉にならない“記憶の重なり”が一気に胸に溢れてくるような経験。
これらは「時間をたどって」思い出しているのではなく、
“記憶そのものが、今の中に全体としてある”という形で感じられているはずです。
これがψ5的な記憶=持続の核の記憶です。これはベルクソンのいう「純粋持続」に非常に近いです。

⚫︎ψ6の記憶:時間発展における「展開的な記憶」
一方ψ6では、記憶は時間の流れの中で思い出されていく形になります。無数の個別の記憶(ψ3〜4)が因果を持って流れていくイメージですね。つまり、「あのときこうだった → その後こうなった → そして今がある」というように。直線的な因果の展開の中に組み込まれた記憶です。
例えば、1日の出来事を順に思い出す、とか、ある出来事の原因と結果を考えるとか。このような記憶は、順序性を持ち、時間の座標軸に沿って配置されているのが分かります。
ψ6の赤道円は、量子力学における時間発展演算子(e^{-iEt})に対応していて、ここでは「ψがどう変化していくか」が追跡されている。つまり、記憶の運動の方が重視されている感じです。

⚫︎和音とアルペジオ
つまり、ψ5の記憶が“音楽の和音”だとすれば、ψ6の記憶は、その音符の一つ一つを順番に鳴らしていく”アルペジオ旋律”のようなものですね。
NCでもう一度、ψ5とψ6の反転関係を通して、時間のあり方を確認しておくといいと思います。